» 第1部『ガンダムUC』のブログ記事



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『ワンピースの材源研究』目次

第一部「機動戦士ガンダムUC」

第1章 材源
第1節 比較(2013年8月2日投稿)
第2節 模倣(2013年8月2日投稿)
第3節 材源(2013年8月12日投稿)
第4節 用法違い(2013年8月12日投稿)
第5節 尾田栄一郎(2013年8月12日投稿)
第6節 福井晴敏(2013年8月12日投稿)
・第7節 両作品の前後関係
・第8節 本稿の目的
・第9節 作品年譜

第2章 『機動戦士ガンダムUC』
・第1節 ガンダムの世界観
・第2節 『機動戦士ガンダムUC』あらすじ


機動戦士ガンダムUC 全10巻セット

第3章 『箱』
・第1節 OP『ひとつなぎの大秘宝』
・第2節 UC『ラプラスの箱』
・第3節 『箱』

第4章 『D』
・第1節 OP『“D”』
・第2節 UC『NT-D』
・第3節 『D』

第5章 『道標』
・第1節 OP『ログポース』
・第2節 UC『ラプラス・プログラム』
・第3節 『道標』

第6章 『思想』
・第1節 OP『王国の思想』
・第2節 UC『ジオニズム』
・第3節 『思想』

第7章 『任務』
・第1節 OP『パシフィスタ』
・第2節 UC『ユニコーン』
・第3節 『任務』

第8章 『青い鳥』
・第1節 OP『ラフテル』
・第2節 UC『インダストリアル7』
・第3節 『青い鳥』~リヴァース・マウンテン~

第9章 『守人』
・第1節 OP『ロジャー海賊団』
・第2節 UC『ビスト財団』
・第3節 『守人』~赤髪のシャンクス~

第10章 『鍵』
・第1節 OP『旅の限界』
・第2節 UC『メガラニカの封印』
・第3節 『鍵』~皆既日蝕~

第11章 『蝸牛』
・第1節 OP『電伝虫』
・第2節 UC『カタツムリ』
・第3節 『蝸牛』~通信・放送設備~

第12章 『石碑』
・第1節 OP『ポーネグリフ』
・第2節 UC『宇宙世紀憲章』
・第3節 『石碑』~偽書~

第13章 『兵器』
・第1節 OP『古代兵器』
・第2節 UC『超兵器』
・第3節 『兵器』~古代兵器ゼウス~
・第4節 『兵器』~古代兵器ウラヌス~
・第5節 『兵器』~古代兵器クロノス~

第14章 『人つなぎ』
・第1節 OP『ひとつなぎの大秘宝』
・第2節 UC『ユニコーンガンダム』
・第3節 『人つなぎ』~ナイトメア・ルフィ~

第15章 『王女』
・第1節 OP『空島』
・第2節 UC『空から降ってきた少女』
・第3節 『王女』~天空の城ラピュタ~

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第1章 比較
第1節 比較

次の文章を続けて読んで見て欲しい。

『ONE PIECE』
第57巻576話:白ひげ
「あの宝を誰かが見つけた時……
ㅤ世界はひっくり返るのさ……!!」

「お前たち『世界政府』は…
ㅤいつか来る…その世界中を巻き込む程の
ㅤ“巨大な戦い”を恐れている!!!」

『機動戦士ガンダムUC』
第2巻-P26:リディ・マーセナス
「開放されれば連邦政府が終焉を迎えるという
ㅤ『ラプラスの箱』」

第6巻-P308:リディ・マーセナス
「『箱』は決して開けてはならない。
ㅤお前はその真実を聞かされたはずだ。
ㅤ“いまある世界を覆す力”を
ㅤ解き放ってはいけない。
ㅤそんな権利は誰にもない」

第7巻-P241:ミネバ・ラオ・ザビ
「『ラプラスの箱』が開けば、
ㅤまた大きな戦争が起こる」


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『ONE PIECE』
第52巻507話
ウソップ

「ワンピースってのは本当に最後の島に…」
ルフィ
「宝がどこにあるかなんて聞きたくねェ!!!
ㅤ宝があるかないかだって聞きたくねェ!
ㅤ何もわかんねェけどみんなそうやって
ㅤ命懸けで海へ出てんだよっ!!!
ㅤここでおっさんから何か教えて貰うなら
ㅤおれは海賊やめる
ㅤつまらねェ冒険ならおれはしねェ!!!」

『機動戦士ガンダムUC』
第8巻P-256
フル・フロンタル

「始まりの場所がゴールとは、古典的な趣向だ」
バナージ・リンクス
「ゴールなんてどこだっていい。
ㅤそこにたどり着くまでに、
ㅤなにを見て、なにを感じたか……。
ㅤそれが重要なんだ。
ㅤ答だけ知ってゴールに行ったって
ㅤ『箱』は開かない。
ㅤ同じ道を歩いて、
ㅤ苦労を分けあった人でなければ……」
フル・フロンタル
「旅の苦労を知った者だけが、
ㅤ家の中の青い鳥を見つけ出せる。
ㅤそれも古典だよ」


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第1章 比較
第2節 模倣
第1項 引用元

それぞれの引用元を記載したとおり、マンガ『ONE PIECE』と、小説『機動戦士ガンダムUC』のセリフの一節だ。

『ONE PIECE』は『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』について、『機動戦士ガンダムUC』は『ラプラスの箱』について語っている。

第2項 既視感

ふたつの作品を両方とも読んだことのある読者なら、これらのセリフに読み至った時、奇妙な既視感にとらわれたことだろう。

白ひげは、『ラプラスの箱』のことを説明しているのだろうか?

リディ・マーセナスとミネバ・ザビは、『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』が引き起こす「世界中を巻き込む程の“巨大な戦い”」を恐れているのだろうか?

フル・フロンタルとバナージ・リンクスは、『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』について言い争っているのだろうか?

第3項 類似点

両作品には類似点がある。

なお、海賊が探し求めるお宝は『宝箱』に入っているのが定番なので、ここでは『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』も『ラプラスの箱』も、同様に『箱』と表現している。

① 『箱』を探す旅
『ONE PIECE』では、『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』を探し求めて航海をする。
『機動戦士ガンダムUC』では、『ラプラスの箱』を探し求めて旅をする。

② 『箱』の中身が分からない
『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』と『ラプラスの箱』は共に、中身も在処も分からない。

③ 『箱』を開けると世界がひっくり返る
『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』を見つけると、「世界がひっくり返る」。
『ラプラスの箱』を開くと、「世界が覆る」。

④ 『箱』への道程
『ONE PIECE』では、ログポースが次の島への針路を示し、『箱』への道程を段階的に進むことができる。
『機動戦士ガンダムUC』では、ラプラス・プログラムが次の指定座標を開示し、『箱』への道程を段階的に進むことができる。

⑤ 『箱』の在処はスタート地点
『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』は、“偉大なる航路(グランドライン)”を一周した最終地点(つまりスタート地点リヴァース・マウンテン双子岬の裏側)にあると考えられている。
『ラプラスの箱』は、色々めぐった後、スタート地点のスペースコロニー「インダストリアル7」にあった。

第4項 偶然か故意か

列記した両作品の類似点は、はたして偶然であろうか? あるいは故意であろうか?

どれも「ドラゴンクエスト」に代表されるロールプレイングゲームの基本フォーマットのようなものなので、両作品が共にそのフォーマットを踏んだだけ、とという見方もできるだろう。

ところが、類似点は『箱』に関するものだけではない。

本稿の結論を先に申し上げれば、これは偶然ではない。どちらかがどちらかの作品を模倣している、と考えている。

それは第一に、作品の世界観の根底に関わる部分で、多様かつ不気味なまでの類似が、両作品に散りばめられているからだ。本稿ではこの点をひとつひとつ詳細に検討していく。

石碑…思想…蝸牛…兵器…“D”

第二に、『ONE PIECE』及び福井作品は、その他の作品の模倣と思しき点がそもそも非常に多い。この点は本章でそのさわりを紹介する。

もっとも、すわ盗作か、パクリかと疑うのは早計だ。

小説やマンガに限らず、あらゆるジャンルの創作活動は手本とする先行作品の模倣から始まる。

極端な話しではなく、先行作品からの影響を全く受けていない純真に独創的な作品などありえない。

第5項 巧みな模倣

清水良典著『あらゆる小説は模倣である。』では、「模倣」を次の三つに分類している。

① 自分の独創と思い込んで二番煎じや紋切り型に陥ってしまう無知な模倣。

② 他の作品をなぞって取り込み、その形跡をたやすく見破られてしまう下手な模倣。

③ もとの作品を土台にして別個の作品に仕上げてしまう巧みな模倣。

両作品の作者はおそらく、自身の創作手法が③「巧みな模倣」であることを自負している。

ゆえに、敢えて意識的に、模倣の足あとを作中に残す。巧みな模倣の結果、独創性を獲得したと見える部分においても、その出典がどこにあるのかを示す手掛かりを残している。

特に福井にはその傾向が顕著で、それは福井のルーツが、江戸川乱歩賞を受賞してデビューした推理小説家であったことに因るのかもしれない(もっとも、その受賞作からして到底推理小説とは呼びがたい破天荒な代物ではあったが)。

読者にヒントを与えることで物語の結末の推理を促している。かといって、元ネタ通りの結末を迎えるわけではない。

③「巧みな模倣」は先行作品を踏み台にして自らの作品をより高い次元に押し上げる。より納得のいく結末、よりカタルシスの得られる結末、もっと言えば、あるべき結末をも目指すものだ(福井作品の分析は、別稿で行う予定だが、本稿でも後段でそのさわりだけ紹介しておく)。

そのような意味において、彼らの模倣は盗作やパクリといったネガティブなイメージの言葉で定義されるべき類のものではない。

第6項 オマージュ

かといって、オマージュとも異なるように思う。

オマージュとは、

『すべての小説は模倣である。』著:清水良典
「偉大な先人への敬意を表明する行為として、その文体や、ある作品のストーリーを模倣する態度」

である。同感だ。加えて、

「オマージュを捧げることは相手へのへりくだりであり、師と仰いで弟子となることを表明するに等しい」

とも評している。そう思う。

ただ、両作者の「模倣」は、そんなへりくだった態度ではない。

決して敬意がないわけではない。良いと思うからこそ模倣する。それでいて、部分的な模倣を作中密かに忍ばせるといった控え目で謙虚な姿勢からは程遠い。

「元ネタを踏まえてオレはこんなふうに書いてみたけど、どうよ!?」とでも言いたげで、むしろ挑戦的、挑発的ですらある。

そんな両作の模倣は、「模倣」という単語ですらふさわしくない。

そこで本稿では、「模倣」に代わって「材源」という単語を使用する。


あらゆる小説は模倣である。  著:清水良典

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第1章 比較
第3節 材源
第1項 シェイクスピアの作劇法

「材源」とは、「シェイクスピア作品の研究」で使用される用語だ。

ウィリアム・シェイクスピアはイングランドの劇作家、詩人で、西暦1600年前後の約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめとして、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「ジュリアス・シーザー」など多くの名戯曲や詩を残した。

名前だけは誰もが知る大作家ゆえ、さぞやオリジナリティ溢れる作品を書いたのだろうと思いきや、まったくその逆。文学者達の長年の研究によれば、シェイクスピア作品の多く、というよりほとんど全てが、過去の別作品を「下敷き」にしているという。

シェイクスピアの場合の「下敷きにする」とは、「模倣する」とか「影響を受ける」とか「部分的に似ている」というレベルの生易しい話ではなくて、物語の舞台や設定、筋、場面はもちろん、文体から登場人物の名前やセリフまであらゆる要素を借用する。それこそ「骨までしゃぶる」かのようにだ。

第2項 リア王

例えば、四大悲劇の一つ「リア王」。
以下7作品を材源としている。

新潮文庫『リア王』福田恆存 解題P-186
① 作者不明 『リア』
② ホリンシェッド 『年代記』
③ スペンサー 『フェアリー・クイーン』
④ ヒギンズ 『君主のための鏡』
⑤ シドニー 『アーカディア』
⑥ ハースネット 『宣言』
⑦ モンテーニュ 『随想録』

「リア王」は、①の「【原】リア王」を幹とし、②~⑦の作品のエピソードや言い回しを取り入れて構成されている。

メインの材源を主筋とし、その他複数の材源を副筋に組み込んで作品のストーリーを構成する。材源の良い部分を活用し、不要な部分は省略する。

いずれの材源にも登場しないシェイクスピアの独自のものと考えられる登場人物は、むしろ少数派で数えるほどしかいない。

その上で、作品の肝となる部分には、シェイクスピア独自の改変を加える。

第3項 シェイクスピア作品の特徴

このように、シェイクスピア作品は、いくつもの昔話や物語、歴史や伝承を重ねあわせた多層体になっている。

慣れ親しんでその面白さが約束されたストーリーを土台として、造形をより一層深堀りした人物達の人間ドラマを積み上げる、といった手法をとっているためだ。

凡手がやれば、きめの粗いただのパッチワークになってしまうところだが、人物造形を材源の場合より一層複雑で厚みのあるものとして描くことに成功しているため、作品全体がシェイクスピア独自の色で統一される。縦糸としてのストーリーと横糸としてのドラマが、緊密に入り組んだ織物に仕上がっている。

特徴のある人物造形とその人間関係、それらが織りなす複雑なストーリー構成は、純然たる創作として生み出すには多大なエネルギーを必要としすぎる。

古くから親しまれた、単純な型ゆえの面白さを持つ既存の物語をいくつか組合せ、魅力的な人物やエピソードを織り込んでいくことで、複雑多岐にわたる人間ドラマの創造に注力ができるわけだ。

第4項 シェイクスピア関連本

新潮文庫「シェイクスピアの本」訳:福田恒存
ㅤ① ロミオとジュリエット
ㅤ② オセロー
ㅤ③ ハムレッット
ㅤ④ ヴェニスの商人
ㅤ⑤ リア王
ㅤ⑥ ジュリアス・シーザー
ㅤ⑦ マクベス
ㅤ⑧ 夏の夜の夢・あらし
ㅤ⑨ じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ
ㅤ⑩ アントニーとクレオパトラ
ㅤ⑪ リチャード三世
ㅤ⑫ お気に召すまま

シェイクスピア解説本
ㅤ① シェイクスピアの変容力―先行作と改作
ㅤㅤ著:小野昌山根正弘中村豪石塚倫子


ㅤ② シェイクスピアと聖なる次元―材源からのアプローチ
 ㅤ著:斎藤 衛

ㅤ③ シェイクスピアを楽しむために
ㅤㅤ著:阿刀田 高

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第1章 比較
第4節 用法違い
第1項 材源

シェイクスピアの時代、このように材源の大部分を借用して改変を加えたものを自身の作品として発表することは、むしろ当たり前のことであったらしい。

更には、シェイクスピア作品を下敷きとして改変を加えた後世作品も多数ある。前後に挟まれてなおシェイクスピアが至高とされる理由は、既にの述べたように人物描写の深さにあった

シェイクスピア作品における材源からの借用度合いを、現代の基準で評価すれば、さすがに盗作とか剽窃と非難されてしまうことだろう。

だが、「材源」を積極的に利用することで、より高度で複雑な物語を創作し得たという意味において、「材源」は極めてポジティブなイメージを持つ。

第2項 用法違い

『機動戦士ガンダムUC』
第1巻P-33
(リカルド・マーセナス 改暦セレモニー演説)
「宇宙世紀。ユニバーサル・センチュリー。字義通りに訳せば「普遍的世紀」ということになります。宇宙時代の世紀であるなら、ユニバース・センチュリーとするべきでしたが、我々は敢えて用法違いと思われる「普遍的」を選び、新しい世紀の名前としました。」

スティーブ・ジョブズ 神の交渉力
著:竹内 一正

つぎにジョブズは、アップル再生の新キャンペーンを始めた。「Think different」(発想を変えよう)だ。(中略)
ただし、このキャッチフレーズは文法的に正しくない。differentではなくdifferentlyが普通だ。だが、ジョブズには文法など重要ではなかった。フレーズの最後が-lyなんかで終わっていたら、インパクトがないからだ。

というわけで、用法違いであるかもしれないが、両者に敬意を込める意味で、本稿でも「材源」という用語を使う。


スティーブ・ジョブズ神の交渉力

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第1章 比較
第5節 尾田栄一郎
第1項 尾田栄一郎の来歴

1992年『WANTED! 』で第44回手塚賞準入選。

1993年『一鬼夜行』で第104回ホップ☆ステップ賞入選。

1997年『ONE PIECE』連載開始。

第2項 『ONE PIECE』の材源

そもそも『ONE PIECE』には、様々な元ネタやモデルの存在が指摘されている。

作品全体の世界観は『風の谷のナウシカ』。


風の谷のナウシカ 全7巻

空島の設定は『天空の城ラピュタ』。


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スリラー・バークの舞台やキャラクターモデルは『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』、『アダムス・ファミリー』。


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王下七武海のキャラクターモデルは『ロマンシング サ・ガ2』。


ロマンシング サ・ガ2

尾田本人が公言しているものもあれば、読者から指摘されているものもある。

本稿では、『ONE PIECE』の未解決の謎について、それを解く鍵となりうる材源に絞って取り上げ、検証していく。

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第1章 比較
第6節 福井晴敏
第1項 福井晴敏の来歴

福井晴敏は1998年『Twelve Y. O.』で第44回江戸乱歩賞を受賞し、小説家としてデビュー。

2000年『亡国のイージス』で日本推理作家協会賞日本冒険小説協会大賞大藪春彦賞の三賞を受賞。直木賞候補にも挙がった。

2003年『終戦のローレライ』で吉川英治文学新人賞日本冒険小説協会大賞を受賞。


終戦のローレライ(1)

2005年には『亡国のイージス』、『終戦のローレライ』、『戦国自衛隊1549』の3作品が劇場版映画として公開された。

2007年『6ステイン』(短篇集)は、二度目の直木賞候補になった。


6ステイン

福井は強烈なガンダムフリークで、本人曰くガンダムと言うよりも富野ウォッチャーらしいが、デビュー作『Twelve Y. O.』をガンダムの生みの親、富野由悠季氏に献本したことがきっかけで『ターンエーガンダム』の小説化を依頼されを執筆(後に『月に繭 地には果実』に改題)、結婚の仲人をしてもらったほどだという。


月に繭 地には果実〈上〉

2007年~2009年の小説連載を終えて、2010年『機動戦士ガンダムUC』がOVA発売された。小説は全10巻完結、OVAは全7巻中6巻が発表されている。

第2項 福井晴敏の作風

ストーリー、キャラクター、セリフ、、、『ターンエーガンダム』、『機動戦士ガンダムUC』以外の福井作品にもガンダムの影響が読みとれる。シャア・アズナブルを思わせるキャラクターや、ジオン公国にそっくりな敵、あのシーンのあのセリフ。。。

福井作品は、一見で分かるその強烈なガンダム臭によってカモフラージュされているが、実は主にガンダム以外の様々な作品を材源として使用しており、その源流をたどるのが実に面白い。

第3項 『Twelve Y. O.』

Twelve Y. O.』の材源
◎『新世紀エヴァンゲリオン』(TV+旧劇場版)
△『ザ・ロック』(映画)
△『機動警察パトレイバー2』(映画)
△『新宿鮫』シリーズ(小説)

Twelve Y. O.』は福井のデビュー作。第44回江戸川乱歩賞を受賞した。


Twelve Y.O.

大筋と主要キャラクター設定は『新世紀エヴァンゲリオン』を材源としている。テロリスト「12(トゥエルブ)」は「碇ゲンドウ」、兵器「ウルマ」は「綾波レイ」がモデル。「葛城ミサト」と「赤木リツコ」は統合されて「夏生由利」になっている。


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碇シンジに該当する登場人物を据えなかったところがポイントで、ストーリーはスムーズにスイスイと進むが、その分ドラマが薄くなった。

碇ゲンドウは、妻ユイとの再会を求め、ゼーレの人類補完計画を乗っ取り、サードインパクトを引き起こす。

トゥエルブは、父との再会を求め、日米政府の謀略「キメラ」のシナリオを書き換えて、沖縄県辺野古弾薬庫に大爆発を引き起こす。

大爆発を引き起こす二液混合爆薬「テルミッド・プラス」は、『ザ・ロック』の「テルミッド・プラズマ」がモデル。

「ウルマ」、「キメラ」、「アポトーシスⅡ」のルーツは『機動警察パトレイバー2』にある。

「BB文書」はネーミングとしては『新世紀エヴァンゲリオン』の「死海文書」を連想させるが、その実質的な役割は『新宿鮫』シリーズの「宮本の遺書」に相当する。


新宿鮫 著:大沢在昌

ちなみに、『機動戦士ガンダムUC』に登場する強化人間マリーダ・クルスの元のコードネーム「プル・トゥエルブ」はプルシリーズの12番目という意味だが、本作『Twelve Y. O.』の「トゥエルブ」に由来する。

第4項 『亡国のイージス』

亡国のイージス』の材源
◎『ザ・ロック』(映画)
○『レディ・ジョーカー』(小説)
△『機動警察パトレイバー2』(映画)

デビュー作『Twelve Y. O.』の続編で、映画化もされている。前作の辺野古弾薬庫の大爆発は「辺野古ディストラクション」と呼ばれている。


亡国のイージス(上)

前作『Twelve Y. O.』では小道具として二液混合爆薬テルミッド・プラズマだけが材源として使われていた『ザ・ロック』の、今度はそのストーリーラインが、忠実に取り込まれている。


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唯一、大きく異なる部分が脅迫の要求内容で、『ザ・ロック』が「現金」であるところを、『亡国のイージス』では「日米政府謀略の公表」に改変されている。

この謀略には、『Twelve Y. O.』で発生した「辺野古ディストラクション」の真相が含まれる他、宮津艦長の個人的な動機が含まれるのだが、その動機の材源に『レディ・ジョーカー』が使われている。


レディ・ジョーカー〈上〉  著:高村薫

ちなみに、イージス艦いそかぜの乗務員で魚雷に押し潰されて死亡した菊政二等海士の子孫「キクマサ」が『機動戦士ガンダムUC』ではネェル・アーガマに乗艦し、やはりミサイルに押し潰されて死亡している。

以下、『ザ・ロック』と比較し、主な類似点を列挙する。

① 毒ガスで政府を脅迫
ザ・ロック
現役海兵隊将校ハメル准将が、部下及び傭兵と共に、米軍が所有する毒ガスVXを強奪、アルカトラズ島元刑務所を占拠、VXガスを搭載したミサイルの照準をサンフランシスコに合わせて政府を脅迫する。
亡国のイージス
現役自衛隊幹部宮津二佐が、部下及び北朝鮮の特殊工作部員と共に、在日米軍が所有する毒ガスGUSOHを強奪、イージス艦いそがせを占拠、GUSOHを搭載したミサイルの照準を東京に合わせて政府を脅迫する。

共に現役の海兵隊将校と自衛隊幹部が反乱を起こし、近海から毒ガスを搭載したミサイルの照準を都市に合わせて政府を脅迫する。

ザ・ロック』では物語開始から間もなく政府脅迫に至るのに対し、『亡国のイージス』ではちょうど真ん中、上下二巻の上巻最終ページ。そこに至るまでの練りこまれた経緯、人物描写の深さとボリュームが、福井作品の醍醐味のひとつ。

ザ・ロック』のVXガスが実在するのに対し、『亡国のイージス』には架空の毒ガスGUSOHが登場する。日本においては、VXガスやサリンはリアルで生々しすぎるからであろうか。

② 要求内容
ザ・ロック
要求内容は、過去の作戦において戦死した海兵隊特殊偵察部隊隊員の遺族への補償金として1億ドル。
亡国のイージス
要求内容は、アメリカ政府と日本政府の謀略を公表すること。

一見して、『ザ・ロック』は現金を要求、『亡国のイージス』は謝罪の要求であって現金ではないところに大きな差があるようだが、遺族に保証金を分配して傭兵に報酬を支払えば、ハメルの手元にはいくらも残らないことからすれば、いずれもカネ目的ではない点は同じ。宮津が、単なる傭兵ではなく北朝鮮の工作員と組んでいることで、ストーリーとドラマを複雑化させている。

③ 特殊焼夷弾テルミッド・プラズマ
ザ・ロック
毒ガスが使用された場合の対抗手段は、特殊焼夷弾テルミッド・プラズマ。3000℃の爆発で毒ガスを焼き尽くす。
亡国のイージス
毒ガスが使用された場合の対抗手段は、特殊焼夷弾テルミッド・プラス。6000℃の爆発で毒ガスを焼き尽くす。

VXガスを架空の毒ガスGUSOHへ置き換えた配慮とは裏腹に、この酷似は一体何なのか?

爆発熱3000℃を倍の6000℃に上げて、GUSOHの厄介さをアピールしているが、名称は見ての通り大差ない。『ザ・ロック』を材源としていることを隠すつもりがないどころか、前提としているかのようではないか。

ちなみに、『Op.ローズダスト』でテルミッド・プラスは改良強化され、《テルミッド・プラス・エクストラ》として登場する。さらには、GUSOHとテルミッド・プラスは次作『∀ガンダム』にも登場し、福井作品世界とガンダム世界が地続きであることをほのめかしている。

④ 海底づたいの奇襲作戦
ザ・ロック
海兵隊の特殊部隊SEALが海底づたいにアルカトラズに忍び寄る奇襲作戦は、部隊壊滅するも2名の工作員の送り込みに成功。
亡国のイージス
防衛庁の特殊要撃部隊920SOFが海底づたいにいそかぜに忍び寄る奇襲作戦は、部隊壊滅の大失敗。

ザ・ロック』では奇襲部隊が壊滅するも2名の工作員を送り込むことに成功したことで、ストーリー上不可欠な作戦であったのに対し、『亡国のイージス』では何の成果もない作戦であった。

ただ、登場人物一人一人の心はこれをきかっけに変化し、それぞれが行動に結びつき、その先のストーリーを動かしていくことになる。つまり、材源では縦糸であったものを抜き出し、横糸として組み込むことで、ストーリーの動機として必要なドラマに仕上げている。

ついでに言うと《920》という数字は、福井の未発表2作品『敗者達の黙示録』、『壊点–ポイント・ブレイク』の主人公《結城圭一》のIDナンバーに由来する。『亡国のイージス』の主人公《如月行》のIDナンバー《729》と共に福井作品世界では伝説的存在。『Op.ローズダスト』には復活した920SOF及び新設された729SOFとして登場し、『機動戦士ガンダムUC』には地球連邦軍の特殊部隊ECOAS920とECOAS729として登場する。


HOW TO BUILD福井晴敏

⑤ 特殊工作員
ザ・ロック
イギリスSASの特殊工作員パトリック・メイスン(ショーン・コネリー)と、FBIの化学兵器専門捜査官スタンリー・グッドスピード(ニコラス・ケイジ)が、テロリスト排除の行動を起こす。
亡国のイージス
もともといそかぜ艦内に潜入していたダイスの特殊工作員如月行と、ミサイル担当の先任伍長仙石が、テロリスト排除の行動を起こす。

ザ・ロック』が《高齢》の特殊工作員と《中年》の専門家であったものを、《青年》の特殊工作員と《中年》の専門家へと改変していて、その組合せは福井作品では定番になっている(『川の深さは』、『Twelve Y. O.』、『Op.ローズダスト』)。

⑥ 空爆作戦
ザ・ロック
一方、政府はテルミッド・プラズマによる空爆作戦を開始。
亡国のイージス
一方、政府はテルミッド・プラスによる空爆作戦を開始。

ザ・ロック』では、まだテスト段階で実戦配備されていないテルミッド・プラズマを36時間以内にF-16戦闘機へ搭載する。期限までに間に合うかどうか?という切迫したドラマはなく、空いた時間に奇襲作戦を仕掛けるための状況設定でしかない。

亡国のイージス』のテルミッド・プラスは、前作『Twelve Y. O.』で既に使用されている。辺野古基地に巨大クレーターを作って、性能・効果は実証済みだ。

むしろ、自衛隊戦闘機が味方のイージス艦を爆撃するというありえない状況における、パイロットの心理的葛藤を克明に描写する。

自衛隊の同士討ちという同様の状況を描いた映画『機動警察パトレイバー2』から、戦闘機のパイロットと管制官との無線交信の会話をほぼそっくり引用している。が、空爆作戦の中で僚機を撃墜されるなどドラマが付け加えられ、パイロットの心理描写の深さは、『機動警察パトレイバー2』や『ザ・ロック』の比ではない。


機動警察パトレイバー2 the Movie [DVD]

⑦ 最後のテロリストがポールに串刺し
ザ・ロック
テロリストの最後の一人がポールに串刺しとなって死亡。
亡国のイージス
テロリストの最後の一人がポールに串刺しとなって死亡。

残った最後の一人を、どういたぶって始末するかという場面。ポールに串刺しとなる切っ掛けが、『ザ・ロック』では少々笑える演出だったものを、『亡国のイージス』では手に汗握る戦闘シーンに改変している。

北朝鮮の工作員の首魁が惨めな最期を迎え、その醜態を晒しつつ、なおも終わらない状況を見つめ続ける。

⑧ 空爆回避
ザ・ロック
グッドスピードは発煙筒でテロリスト全滅を伝えたが、空爆は完全には回避されず、一部が投下されて爆発した。
亡国のイージス
仙石は手旗信号でテロリスト全滅を伝え、空爆は回避されたが……。

ザ・ロック』では、せっかく発煙筒を焚いて作戦成功を伝えたのに、空爆は完全には回避されなかった。爆発がないと話が締まらないということか?

亡国のイージス』では、なんの通信手段も持たず、深手を負っているため仰臥したまま起き上がれない状態で、手旗信号を振る。誰がどうやって見るというのか? と思いきや、それまので伏線が大いに効いて大成功、空爆は回避される。それでもやはり、爆発がないと話が締まらないということか、コントロールを失った艦が、陸地に向かって暴走を続ける……。

⑨ 墓参り
ザ・ロック
プロローグで、ハメル准将が亡妻の墓参り
亡国のイージス
エピローグで、宮津艦長の妻が宮津艦長の墓参り

ザ・ロック』のハメル准将は、妻が亡くなったことで踏ん切りがつき、テロ計画を実行に移す。妻を狂気に巻き込みたくない、あるいはその存在に計画の足を引っ張られたくない、そういう心配がなくなったことが墓参りによって表現されている。ただ、それは状況であってドラマではない。

亡国のイージス』では、宮津艦長の妻は存命のままストーリーは展開するが、最後の最後まで出番はない。エピローグには、ストーリーとは無縁のドラマが用意されている。

第5項 『Op.ローズダスト』

③ 『Op.ローズダスト』
◎『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(映画)
◎『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙』(映画)
△『機動警察パトレイバー2』(映画)
△『レディ・ジョーカー』(小説)

本作は、「ガンダム」二作を材源のメインに据えて、アムロ・レイとシャア・アズナブルの因縁の対決に真っ向から取り組んでいる。


Op.ローズダスト(上)

一年戦争でララア・スンを失ったシャア・アズナブルは、何を目的に地球寒冷化作戦を企て、その裏で何故にサイコフレームの製造法を自らリークしたのか?

逆襲のシャア』は初見当時、分かりづらい作品だった。シャアやアムロの言動は、頭ではなんとなく理解できても共感はできない。


機動戦士ガンダム 逆襲のシャア [DVD]

アクシズを地球への落下軌道から逸らした虹色の光はご都合主義のデウス・エクス・マキナのようでいて、シャアやアムロが抱える問題の何をも解決していない上に、二人を消滅させてしまった。観ていて、取り残されたような放り出されたような、不快な違和感を覚えたものだ。

アクシズが地球に落ちなかったのはどういう理屈か? という作品世界内部の科学的論理は、後々の解説本や『機動戦士ガンダムUC』の中で付与されたり(放棄されたり)するが、それは問題の本質とはほど遠く、違和感を拭うものではない。

二人は何をどう考え、《一年戦争》から《シャアの反乱》までの時を過ごし、何を求めてその時を迎えたのか? 地球圏に漂うララァの魂は何を望んでいるのか?

年を経て次第に彼らの考えや気持ちが分かるようになると、より一層、違和感は深まった。彼らは、そのストーリーで、その結末で、果たして満足しているのだろうか? アニメのキャラクターの人生の幸福感を心配するのも滑稽な話だが、虚構であるからこそ理想を描いて貰いたい。

理解が深まるにつれ、不満が増していくと感じるのは、私の誤解であろうか? 理解不足であろうか?

Op.ローズダスト』は、私のその疑問と苛立ちにひとつの回答を与えてくれた。

本作は、『逆襲のシャア』を材源とし、一功、朋希、三佳の三人が、シャア、アムロ、ララァの関係を再現している。そして、アクシズは地球に落ちる。さらに舞台はアクシズからア・バオア・クーに移り、カツ、レツ、キッカが現れて……。


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詳細はここでは割愛するが、『逆襲のシャア』の消化不良を解消し、『機動戦士ガンダムUC』へと繋ぐために必要な一作だ。

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